平成13年7月2日(月)、シエナ       シエナの写真集へ

 

シエナに立ち寄って、13時迄にフィレンツェのパルジェッロ博物館に入り、ドナテッロのダヴィデ像を見たという欲張りを実現する為には、ピサのホテルを6時15分に出発するという強行軍。タクシーを呼び、6時25分ピサ駅に着いた。朝食は列車の中で食べようと、駅の構内にあるマクドナルドでパニーノを購入した。通勤客はここで朝食を取っていた。

リヴォルノ発ボローニア行の電気機関車に客車を付けたラピド(R)が10分遅れの午前6時58分ピサに着いた。電気機関車は落書きだらけである。

リヴォルノはピサからリグーリア海沿いにローマに向かう1つ目の駅。ピサでは大勢の通勤客が乗った。エンポリ駅での乗り換え時間は8分しかなく、10分遅れでは乗り継ぎ便に間に合わない。

日本なら少々遅れても、乗り継ぎの列車は待っていてくれるのだが、イタリアでは待っているか分からない。エンポリで2時間待って、次の列車でシエナに行くか、このままフィレンツェに行くか、エンポリからヴィンチ村まではバスで30分の距離だから、エンポリで降り、ダヴィンチのヴィンチ村を経由してフィレンツェに入るかなど話し合い、とりあえずエンポリまで行き、乗り継ぎ便が待っていなかったら、ヴィンチ村に行こうということになった。

エンポリに着いたら、隣のホームに列車が止まっていた。駅員が、シエナへ行くから早く乗れとせかす。15人ほどの乗り換え客が、慌てながら乗り終えると列車は出発した。少々の遅れは、イタリアでも日本と同じように待っていることが分かりうれしくなった。

この列車は、シエナ行きの普通列車で、トスカーナのキアンティーの丘の下を走り、1時間程でシエナに着く。進行方向の左がキアンティーの丘だからと、地図を見ながら左側の座席に座った。

普通列車に初めて乗ったが、時速150kmを超すスピードで枯れ草色の耕地を走る。日本では枯れ草色は冬の景色なのに、こちらは初夏の景色であり、戸惑ったが、小麦の収穫が春だから、初夏の耕地は枯れ草色になることに気がついた。刈り入れが終わった枯れ草色の麦畑、オリーブやブドウやひまわり畑などや、なだらかな斜面のところどころに糸杉が点在する典型的なトスカーナの風景を車窓から見ながらDVを回していると、1時間はあっという間に過ぎてしまう。午前8時50分シエナに着いた。タクシー乗り場で30分待ったがタクシーは来ない、前のバス停にはバスが2回来ている。タクシーをあきらめ、バスに乗ってシエナの街に行くことにした。駅から街まではバスが頻繁に出ており、駅にタクシーが来ないのは、利用者が少ないからだということが分かった。街は丘の上にあり、15分くらいで中心に着いた。

偶然にも、7月2日は、美しいブップリコ宮殿の前の、世界一美しい広場といわれるカンポ広場で、年に2回行われる「パリオ」という中世の伝統的な競馬の祭りが行われる日で、中世風の小旗を掲げた祭り一色の繁華街の人ごみの中を、15分くらいかけて歩き、広場近くに着いた。周囲1km程の広場の周りには鉄の観覧席が作られていて、広場に通じる道からは桟敷に遮られ、入ることが出来ない。やっとのことで入り口を見つけ、広場の中に入ることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

広場は宮殿に向かって緩やかに傾斜している。鉄の桟敷の内側に幅10メート程の馬が走るコースが出来ており、その内側も観客席で、売店も設けられていた。祭りで、宮殿の入り口には、中世の鎧を着てナイトに扮した街の若者が立っていた。

宮殿に隣接する102mのマンジャの塔の上から、美しいトスカーナの景色を見ようと塔に登った。1階の切符売り場で入場券を買い、3階まで登ったところに入場口があり、チケットを渡した。ここでは入場券は販売していない。入場口から一人がやっとの狭い階段を心臓が破裂する思いで昇った。ところどころに明かり取りの小窓があり、狭い窓越しに眺める景色がすばらしい。、  

展望台の近くまで昇ったところで、「もう限界だ」と言ったら、先に展望台に着いた家内から、「ここからのすばらしい景色を見ないことはない」と叱られ、頑張って展望台まで昇った。塔の狭い窓の隙間からの眺めもすばらしいが、360度の展望は、絵葉書で見る景色とは比べ物にならない。あの辺りが列車の中から見たキャンティーの景色だろうと想像しながら、麦の収穫が終わった枯れ草色の丘に緑の糸杉が点在する風景を楽しみ、眼下の美しいカンポ広場やシエナの町並みを楽しんだ。また、トスカーナを紹介する写真に見られるように、麦が青々した時期のキャンティーの丘の美しさを想像した。

 

 

 

 

 

 

 

偶然にも「パリオ」に巡りあったのだから見物しようと思ったが、夕方に始まるとのこと、まだ午前10時では夕方までには時間がありすぎるので、見物を断念した。

シエナの落ち着いた中世的な街並はいかにも女性好みの雰囲気である。

タクシー乗り場でのもたつきが影響して予定より1時間遅れの11時43分発のエンポリ行き普通列車に乗り、フィレンツェに向かった。左側に座り、往きとは反対側の景色を車窓から眺めたが、キアンティーの丘側の景色よりも美しく感じた。エンポリで乗り換えフィレンツェに向かった。フィレンツェ到着が1時間遅れの13時30分では、パルジェッロ博物館の開館時間が過ぎているので、ドナテッロのダヴィデ像は見ることは出来ない。

 

 

平成13年7月2日(月)、フィレンツェ      フィレンツェの写真集へ

 

エンポリからフィレンツェまでは普通列車で約35分の距離。列車はアルノ川やピサからの高速道路と平行して走り、車窓の景観も、枯れ草色のキアンティー地方とは違って、緑の小高い丘、緑の畑、点在する緑の糸杉など、緑一色のすばらしい景色を楽しみながら、午後1時30分フィレンツェに着いた。3回目のフィレンツェで、ある程度道慣れがある。

パスポートをホテルに預け、ホテル近くのサン・ロレンツォ教会の礼拝堂へ、あこがれのミケランジェロの彫刻を見に行ったが休館日で残念。

徒歩でサンタ・マリア・ノヴェッラ教会へ行き、修復に12年をかけ今年の4月に教会に戻ったという、ジョットの「十字架のキリスト」や、クローチェ教会のドナテッロのものと比較される、ブルネッレスキの木造彫刻、「十字架のキリスト」を見た。

そこからタクシーでサンタ・マリア・カルミネ教会、サンタ・クローチェ教会、ドゥオーモの洗礼堂と回ってもらった。

カルミネ教会では「楽園追放」など、マザッチョのフレスコ画を楽しみ。ダンテ、ミケランジェロ、マキャヴェリ等の墓があるサンタ・クローチェ教会では、見たかったドナテッロの「十

字架のキリスト」や、ジョットのフレスコ画を楽しみ。天井に描かれた見事な金色のモザイク

を見るため、ドゥオーモの洗礼堂の前でタクシーを降りた(タクシー代50000リラ、2800円)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洗礼堂で金色の天井モザイク画を見てから、午後7時30分シニョリーア広場のネプチューン像の前を待ち合わせ場所にし、家内達と別れ、思い入れのある絵画「東方の三賢王」を見にリッカルディ宮を訪ねた。リッカルディ宮の入り口は以前と違ったところにあり、今様のデジタル技術を使った部屋が設けられたり、日本語のパンフが置いてある博物館になっていた。

荘厳な「東方の三賢王」の部屋は誰もいなかったのでゆっくりDVカメラに納めることが出来た。リッカルディ宮を出て、次にヴェッキオ宮のフィレンツェの獅子や大広間の壮大な壁画、コジモとその妻の部屋の天井画、イルカを抱いた天使の像などをもう一度ゆっくり見ようと、ドゥオーモの前を通り、ヴェッキオ宮に向かった。途中のどが渇きバールでアクアを買ったら2500リラもした。500リラも高い。

フィレンツェの獅子やイルカを抱いた少年や2匹のライオンの像に迎えられ、ヴェッキオ宮に入った。大広間の壁面は、ダヴィンチの「アンギャリーの戦い」と、ミケランジェロの「カッシーナの戦い」の壁画の競演になるはずだったが、いずれの作品も未完成に終ったとか。

ダヴィンチの「アンギャリーの戦い」は、ルーベンスが模写したといわれる絵を美術書で見たことがある。それに似たデッサンが3階の「イルカを持つ天使」像の近くに掛けてあった。

ヴェッキオ宮を出て、ウフィツイ美術館の前にあるダヴィンチやダンテやマキャヴェリなどの偉人の像の前を通り、アルノ川河畔からヴェッキオ橋を渡って河畔を南下し、サンタ・トリニタ橋を渡ってストロッツィ宮へ向かった。

サンタ・トリニタ橋から眺めたヴェッキオ橋は、夕日に映え、アルノ川の川面に映って実に美しい。

ブップリカ広場を経て、7時30分シニョリーア広場の待ち合わせ場所で家内たちと合流した。途中、本物そっくりの猪の像の前では観光客が鼻や口をなでていた。多くの人がなでるので猪の鼻から口にかけて金色に光っていた。また、ダンテの家の前の道では、ダンテの顔を彫った敷石が1枚あるのを中学生の女の子たちが見つけ教えてくれた。

夕食は前回来たとき入ったシニョリーア広場のレストランでしようと訪ねたが、店は閉まっていた。仕方なく隣のレストランに入ったが、旨くなく、サービスも悪い。不愉快な思いをしてホテルに帰った。

 
 
 
 
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平成9年10月21日 フィレンツェ
今日は、5泊6日でフィレンツェ、ローマ、ナポリ、カプリを旅行する初日である。ミラノ中央駅午前8時発のナポリ行きユーロスターに乗り、10時47分フィレンツェ・ノヴェッラ駅に着いた。予約しておいたホテルはサン・ロレンツォ教会の近くにある家族的雰囲気のプチホテルである。ホテルに荷物を預け、憧れのダヴィデに会うためアカデミア美術館に行った。美術館は行列が出来ており30分ほど待って中に入った。行列が出来るのは人数制限をしている為で、「最後の晩餐」を見たときと同じである。「ダヴィデ」は大きな教会のドームを思わせる場所に置いてある。ミロのヴィーナス位倒さと思っていたが4メートルはあろうかと言う大きさに圧れた。巨人ゴリアテを倒す為、右手に石の礫を持ち、遙か彼方を見つめる青年ダヴィデのまなざしが印象的である。
何はともあれ手に触れる距離で、ゆっくり見ることが出来るのが嬉しい。ダヴィデまでの通路にはおびただしい未完の彫刻が陳列してある。その中の未完の奴隷の彫刻が印象的である。美術館を出て昼食を摂るため、ホテルがすすめてくれたトスカーナの家庭料理を出レストランに行った。ホテルから2,30メートルの処ににある小さなレストランであったが、非常に美味しかった。
昼食を済ませ、サンロレンツォ教会を左に曲がりリッカルディ宮殿に入った。メディチ家の宮殿にしてはどちらかと言えば質素に映った。人影がまばらでゆっくり宮殿の中を見て回ることが出来た。2階に上がり大広間の豪華さに驚き、人目に付かないところに金をかけるメディチ家の思想が伺える。大広間を通り抜けまた別の大きな広間があり、壁面いっぱいにゴッツオリの巨大な「若い王子の行列」が描かれてあった。宮殿を出てドゥオーモに向かった。花のドゥオーモと言われるようにその華麗さと大きさの見事さに、ミラノのドゥオーモとは違う衝撃を受けた。教会の中は薄暗い。キャンドルの大きな飾り棚があったので、赤色のキャンドル皿を購入して飾った。
シニョーリア広場のヴェッキョ宮殿に向かい宮殿の獅子に迎えられ宮殿の巨大な壁画を見学し広場を散策し、ラファエロを見るためヴェッキョ橋を渡ってヴィッティ宮殿にあるパラティーナ絵画館に向かった。夕方4時を過ぎていて、入館ぎりぎりであるが入る事が出来た。ラファエロばかりに圧倒されながら、「小椅子の聖母」の前でしばしその美しさに呆然と見入っていった。
ぎりぎりで入館した為1時間程で出なければならなかった。
アルノ川の河畔をフェラガモ本店のある方に向かって歩いた。家内達が買い物をしている間、、河川敷の緑のなかでスポーツに興じている市民や、練習のボートがヴェッキョ橋の下をくぐっている美しいアルノ川の景色を、橋の中程で眺めていた。家内達の買い物が終わり、夕暮れの中を金色に輝いているヴェッキョ橋の宝石店をゆっくり見物しながら、シニョーリア広場に戻り、ヴェッキョ宮殿に向かって右側にある3軒並んだリストランテの真ん中の店に入った、表はテラス席であったが満員なので建物の中に入った。
店の中は想像以上に広く、アルノ川添いまであるのではないかと思うほどである。
夕食はトスカーナ風のアンチパスト、生ハムメロン、リゾット、パスタなどお互いに好みのものを注文した。
 
平成9年10月22日 フィレンツェ
ホテルで朝食を済ませ、午前8時30分、ウッフィツィ美術館に向かった。
長い行列で入館までに1時間程待った。
間近に見るボッティチェリの「春」や「ヴィーナス誕生」、ダ・ヴィンチの「受胎告知」に感動し、ジョット、ミケランジェロ、ラファエロ、フィオレンティーノ、コレッジョ、マンテーニャ、ベリーニ、カナロ、カラバッジョ、ティツィアーノ、ティントレット、ルーベンス、バン・ダイク等の名画やギリシャ彫刻群に感嘆し、再度前に戻って鑑賞した。初めて知った「ギターを弾く天使」と「ロレンツォの肖像」が印象に残る。
回廊からはヴェッキョ橋が架かる美しいアルノ川の景色見える。この回廊はヴェッキョ橋の2階を通って、ヴィッティ宮まで続いているのだそうだ。2時間のウッフィツィ美術館見学を終え、バールでパニーノの軽い昼食を済ませ、市街を散策しながら、サン・ロレンツォ教会の裏にある有名な皮の露天商市場で革製品を見て、午後4時発ローマ行きのユーロスターに乗るためホテルで荷物を受け取りノヴェッラ駅に向かった。
 
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平成11年11月3日 フィレンツェ
2年ぶりのイタリア旅行は、初めての団体旅行である。バスツアーで高速道路をローマから土砂降りのピサの斜塔見物を経て、フィレンツェ郊外のアウトレッドに立ち寄り、アルノ川の対岸にあるミケランジェロ広場に向かった、途中美智子皇后がピアノを弾くハプニングがあった教会の前を通った。
ダヴィデ像の大きなレプリカがあるミケランジェロ広場から市街を眺める景色は、美しい夕方のフィレンツェ市街を紹介する観光写真の景色である。
市街には観光バスは入れないので途中でバスを降り、シニョーリア広場まで市街を散策しながら広場を集合場所に2時間の自由行動となったので、憧れの絵画「ギターを弾く天使」に会いたくてウフィツイ美術館に向かった。幸い30分ほどで美術館に入れたので、1時間半、館内をゆっくり見て、集合場所に向かった。
夕闇のフィレンツェの市街を散策しながらアルノ川の対岸にあるバスの駐車場から郊外にある団体用の宿泊ホテルに向かい、ホテルの夕食はトスカーナ風の料理が出た。
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