アレーナ・ディ・ヴェローナ歌劇団日本公演「トゥーランドット」のエピソード
 
 

アレーナ・ディ・ヴェローナのビデオを見てすっかりオペラに魅せられてから、しばらくして、憧れのヴェローナ歌劇団の「トゥーランドット」が代々木の体育館で公演されました(1990年だったか記憶は定かではありません)。うれしくて、夢中になって観劇しました。

リュウの自決のくだりで1分間くらいオペラが中断しました。そのとき誇らしげな微笑で退席した60代の男性がいました。

「当時最高の指揮であったトスカニーニは、プッチーニの作曲でない部分は指揮が出来ないと、ムッソリーニを尻目に席を立った」、というエピソードがあると紹介した記事を思い出し、トスカニーニの真似をしたと思いました。

もし、この男性が退席したことについて、このトスカニーニのエピソード紹介記事に習い、「ここから先は聞くに耐えない」と、自慢げに話したとしたら、知ったかぶりをするだけの、オペラの本質を理解しない方だと思いました。オペラはラストシーンが最大の見せ場です。観客は、このクライマックスでオペラのすばらしい感動が最高潮に達し、スタンドオベーションしてアーチスト達をたたえます。また、そうすることが観客の礼儀であります。

トゥーランドットのラストシーンは、イタリアオペラには珍しい、ハッピーエンドで終幕する感動的なもので、何とも気分が晴れ晴れとします。

「トゥーランドット」の幕が降りたとき、感激のあまり、興奮状態でスタンドオベーションしているメトロポリタンの超一流の観客たちをビデオで見ました。

「弟子の作った終幕など聞くに耐えない」と退席するなどもってのほかです。

この歌劇のもっとも有名なアリア「氷のような姫君の心も」はプッチーニの最後のアリアですが未完でした。それをアルファーノが補曲して完成させたそうです。

トゥーランドットに魅せられたやつがれにとっては、すばらしいフィナーレを完成させてくれたアルファーノに大感謝なのです。

 

2001年6月30日浅利慶太氏演出ミラノ・スカラ座「トゥーランドット」観劇記へ

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