地域活性化の参考になる道の駅の紹介

                         平成12年6月8日更新

北海道喜茂別町  道の駅「望羊中山」  

若い自治体職員自らが町の経済活性化に真剣に取組み創意工夫を凝らした主体性とアイデンティティーにより見事に経済活性させた熱い情熱と実践の町  

平成5年の初夏、札幌から洞爺湖に行く定期観光バスに乗り中山峠にさしかかる頃、運転手さんの「中山峠の道の駅で15分トイレ休憩をします、話しの種に1億円トイレをご利用下さい」とのアナウンスに「また、ふるさと創生1億円事業の客寄せパンダか」と思いながら行ってみて驚きました。ガラスを多く取り入れた贅沢さを感じない建物に入るとホールがありその両側がトイレになっていました。ホールは明るく周囲はガラス張りの温室を思わせるウインドウになっていて、その中には近くに咲いている思われる草花の鉢が驚くほど沢山置いてあります。可憐な花々は「旅行中お疲れでしょう」、ベンチは「ご家族やお仲間との僅かな待ち合わせにご利用下さい」、ベビーベットは「旅行中赤ちゃんのオムツ換えは大変でしたでしょう」と、すべてのものが話しかけてくるような気がしました。この町の訪問者に対する思いやりの深さに税金の無駄遣いの感情は吹っ飛んでしまいました。トイレの隣のテントでは若い人がはっぴを着て明るい応対で特産のアスラガスと馬鈴薯を一生懸命PRし販売しています。聞きますと皆さんが町役場の職員や農家の青年達が交代で販売するのだそうです。トイレや販売所の青年たちの態度などこの町の活性化への意気込みに感服し、うれしくなりました。アスパラガスとメークインを宅送したことは言うまでもありません。トイレは観光バスの乗客には欠かせない重要な施設です。気配りと工夫を凝らしたトイレはそれだけで集客効果を上げます。今では観光バスが多い日には数100台も止まり年間売上高は10数億円だそうです。喜茂別町は峠に面した山村です。この町の特徴は札幌から洞爺湖に行く観光道路の峠に面していることと特産のアスパラガスとメークインです。町の唯一の特徴を青年たちの自らの熱意と工夫と責任で町を経済活性させたのです。

北海道奈井江町  道の駅「ハウスヤルビ奈井江」

微弱電波のFM放送を開局し、公務員や高校生など若い力で地域情報を発信する21世紀を視野に入れた道の駅

国道12号線の札幌から砂川に向かう石狩平野の日本一長い直線道路にある道の駅「ハウスヤルビ奈井江」は道の駅の2階オープンスペースに微弱電波のFM放送「FM-AIR」の臨時ブースを設け、高校生から公務員までの若者10名編成で、毎月第2、4土曜日に観光客のインタビューを交えながら奈井江町や中空知地方の情報を発信しています。若者たちは21世紀は高度情報化による広域地域連携の地位づくりと位置付け「各地域との情報交換ネットワークの構築」を目指しています。このような情報をお寄せいただきうれしくなります。、不特定多数に情報を発信する放送活動は、情報発信の手段をパソコン検索による地域情報の紹介やインターネットに頼りがちな道の駅の情報提供装置の風潮に一石を投じるものです。

山形県寒河江市   道の駅「チェリーランド寒河江」

民活を活用した官民一体の地域活性事業

日本一のさくらんぼを生産する寒河江市は仙台・山形を結ぶ国道の月山トンネルの近くに広大なドライブインを建設しました。300人以上が座れる、明るく、広々としたはファミリーレストランは和食、洋食、中華とメニューが豊富で家族連れや若者のグループや観光バスの客で大盛況です。盛況なのは、観光バスの客が満足する味の良さからバス会社がこぞってここを利用するからです。広々とした名産、特産品売場は百貨店の名店街のようです。観光バスがトイレや食事や小休止で止まる訳ですから観光客は立派な名店街でお土産を買います。まさに民間の協力・活力を活用した官民一体の地域活性化事業の見本です。もちろん駐車場も広く、気配りが感じられる気持ちの良い環境です。

新潟県黒崎町  道の駅「黒崎 新潟ふるさと村」  

民間の活力が活性化につながることを証明するモデル

民間の運輸会社が作った活性事業を町に委譲したものだと聞きました。民間が計画する大規模投資の事業ですから、当然、集客性、サービスの提供、客の満足感、利益の確保等投資効果は十分検討されています。計画に一部の隙があっても全体の経営に影響するからです。町や地域を紹介する博物館は先端技術を駆使した立派なもので、このような施設には入場料を取るのが常ですが、ここは無料です。花いっぱいのゆとりと豊かさを感じる空間。物産売場は新潟の地酒が全部揃った「地酒百貨店」、新鮮な魚介類が揃う「さかな市場」を中心に新潟県の名産品が揃う広大な面積です。ここでお土産を買う観光客が多く、観光バスは必ず訪れるそうです。

富山県氷見市  道の駅「氷見」

富山湾氷見漁港に隣接した近代的なトキトキ魚市場と、湾越しにそびえる雄大な立山連峰の眺望を活用し、素通りの観光客を足止めにした盛況の活性化施設

富山湾は日本一おいしい魚がとれるところで特に寒鰤の美味しさは絶品です。寒鰤のシーズンには名古屋や大阪から寒鰤を買い求めるツアーで氷見魚港の魚市場は賑わっていましたが知る人ぞ知るといったものでした。氷見漁港は富山湾の一大漁港ですが能登観光の観光客が富山湾のキトキトの魚を買う環境になく観光客は素通りしていました。氷見市はその漁港に隣接して富山湾のキトキトの魚が買えるに近代的でスケールの大きな道の駅「氷見」をオープンさせました。道の駅から富山湾越しに雪を頂いた雄大な立山連峰を望む景色は凄みを感じさせます。もう氷見を素通りする観光バスや観光客はいません。道の駅「氷見」に立ち寄り、日本一の富山湾の魚を買い求め、レストランで富山湾に浮かぶ雄大な立山連峰を楽しむのです。

静岡県富士川町  道の駅「富士川楽座」

東名高速道路の富士川サービスエリアに地方自治体が道路公団の協力を得て作った地域づくり施設

東名高速「富士川サービスエリア」は富士山が間近に眺望できる人気のエリアです。この昇り線側に新たに立派なサービスエリアが完成しました。このサービスエリアに富士川町が地域活性施設として特産品の販売やレストランやスナック販売等を設備した「富士川楽座」と言う立派な施設があります。レストランは雄大な富士が眺望できます。道路公団が地域の活性化に取組んだ初めての試みです。富士川沿いを走る地方幹線道路県道身延富士川線と東名高速が交差する地点に4階建ての道の駅「富士川楽座」の3階4階部分が富士川サービスエリアに直結しているのです。東名高速の人気サービスエリアにできた立派な施設です。観光バスは必ず止まります。富士川町は民間の活力を活用して「楽座」の経営を第3セクターではなく民間企業に委託しました。賑わいは云うまでもありません。

 

岐阜県清見村  道の駅「パスカル清見」

自然を活用した人造の景観環境づくりが年間50万人もの人を引き寄せ、自治体関係者が年間750名も見学に訪れる農水省地域活性化事業の見本

清見村は、高山方面に通ずる長良川の上流沿いを走る「せせらぎ街道」の終点近くにある飛騨の山間の人口3000人ほどの村で飛騨牛を生産しています。周囲には素晴らし景観も名所旧跡もなく、豊かな自然だけの通り過ぎる村でした。村はその豊かな自然を活用して木曽川の支流馬瀬川の河畔にゴルフ場を思わせる芝生庭園を作り、その中にライン川の河畔で見かけるようなヨーロッパ風の小さなホテルやレストランを作り、併設して、ラベンダー園、オートキャンプ場、みやげもの売場などを集積したリゾート形のパーク空間「パスカル清見」を農林水産省等の補助で建設しました。それが出来てからは高山観光で通り過ぎるだけのこの地域に若い家族や若者達のグループを中心に観光バスなど高山観光の途中の休憩も含め年間約50万人が立ち寄るようになりました。訪れる人は平均1000円ほど使ってくれます。飛騨牛を使った定食が評判で、休日は並ばないとレストランには入れません。飛騨の山間に憧れる東京や名古屋など都会暮らしの若い女性も移住してこの空間に働き自然を満喫しています。冬は雪で訪れる人はまばらです。暇な冬季は訪れる春を楽しみに職員達はお土産用のラベンダーのシーズづくりや、もち花づくりで忙しいのです。広大な空間を維持管理するには原価計算や利潤を考える企業の経営感覚が必要です。地方公務員の職員達は自分の城は自分達で守るコスト意識に芽生え、経営の勉強をしているのだそうです。一ヶ月に一回のシーズづくりやもち花づくり、体験農園、スノーモビルなど様々な体験教室には、ホテルの予約はなかなか取れません。豊かな自然を活用した人造の景観や環境が若者達を引きつけたのです。

岐阜県明宝村  道の駅「する墨の里  

起業精神で地域の婦人達が頑張る地域づくり

明宝村は清見村の南側に隣接する村で明宝ハムを作り出した起業精神豊かな地場産業の創造気風に溢れる村です。高山までの観光道路「せせらぎ街道」に面しています。村はこの地域にパークエリア「する墨の里を設けました。地域の婦人会の人々が漬け物を作りここで販売しました。非常に評判が良く明宝レディーズという可愛い名前の会社を作ってしまいました。トマトケチャップも作りこれも好評で民放テレビが取り上げ全国に放映されてしまいました。彼女達はこれからも工夫を凝らした地場特産品を創り出すことでしょう。パークエリアにはレストランや炉辺のエリアでは特産の岩魚をPRし、地域の特産品売り場のほか、飛騨牛肉店、地域独特のおいしいおやつを売る店や工夫を凝らしたスナック菓子の店、地域の草花の販売する店、骨董品を扱う店など民間人の店が軒を並べ商売をしています。食べ物が中心の空間ですが、豊富なスナックを食べるのを楽しみ高山観光の帰りや小旅行の小休止に立ち寄る人が多く休日は広い駐車スペースは満車状態です。

岐阜県付知町  道の駅「花街道付知  

地場産業の振興のために「道の駅」に木曾檜づくりのモデル住宅を作り飛騨の匠の流れの腕をPRする地域づくり

中央道中津川インターから飛騨高山に抜ける国道256号通称花街道は東京や名古屋方面からの高山観光ルートです。途中に付知町があります。木曾御岳周辺は伊勢神宮の社殿の檜や木曾の中乗りさんで有名な木曾ヒノキの産地です。又飛騨高山に近いこの地は飛騨の匠の流れをくむ檜づくりの日本家屋を作る名人達が多い地域です。付知町はこの名人達を集めて住宅づくりの共同組合を作り、道の駅「花街道付知」に地場産業の振興のための檜づくりのモデル住宅を作りました。道の駅に設けた檜のモデル住宅は都会との交流の場を活用した品質と腕をPRする絶好の場所です。

三重県御浜町  道の駅「パーク七里御浜」  

地域活性のパークエリアにスーパーマーケットが共存する新しい地域づくり

町の経営するパークエリアに民間の大型スーパーマーケットをくっつけてしまいました。公共施設と民間のスーパーを一体にしたのは驚きです。公共は非営利ですから民間の利益に協力するのはおかしいといちゃもんをつけたがる輩が随分あったと思います。公共側にはレストランと地域紹介のホール、トイレ、駐車場、休憩ホール。スーパーマーケット側には周辺町村の住民が利用するスーパーの駐車場があり、地域特産の売り場や民間の商店も出店しています。トイレ休憩で小休止した観光バスの乗客や観光客はパークエリアのホールからスーパーに行って、お菓子や、薬や、日常用品や食料を買い求めます。スーパーマーケットですから何でも揃う便利この上なしです。機能は一体になっているように見えますが民間の建物と自治体の建物を一体にすることは出来ないからデザインの同じものを別々に作って合わせ仕切りをオープンにしたのです。現在、通産省と建設省が連携して、この種のパークエリア建設を計画する地域の活性化事業を支援しています。

愛媛県内子町  道の駅「内子フレッシュパークからり」

お年寄りが見つけた自給自足農業の生きがい地域づくり

内子町の農家は山間部を開墾して田畑を作り温暖と山間の斜面を活用してみかん農家として栄えましたが、過疎化と高齢化の悪循環でみかん畑を維持し経営することが困難となり、次第にお年寄り農家の生活に必要な野菜などを作る自給自足の村になってしまいました。自給自足の野菜づくりですが余ります。余った野菜などは近所に配るか捨てるかです。この地域の特徴は高齢者の自給自足農家なのです。役場の職員や町の青年達はこの負の特徴を活用して地域の活性化を図る計画を立てました。「ふるさと創生1億円事業」として自給自足生産で余った農作物を販売する特売場を設け、住所氏名が自動的に入るラベラーを配り値段は生産者であるお年寄達の自由に任せました。お年寄達は捨ててしまったり無料で近所に配っていた野菜ですから朝取れ野菜にただ同然の値段をつけて特売場に出しました。価格破壊の朝取れ野菜スーパーが村に出来たのです。自分達が食べる野菜作りは流通機構に乗せれば規格外の不ぞろい品や曲がった品物でしょうが土の匂いを感ずる朝取れ野菜はスーパーに無い魅力的な野菜です。次第に評判になり今は観光バスが止まるようになりました。お年寄り達は交代で特売市場に出て客の応対やレジを担当します。都会の人達とのふれあいはお年寄り達が忘れていた化粧を思い出させ若返って活気に溢れています。お客とのふれあいは消費者のニーズが分り、今では山にある珍しい植物等を取ってきて市場に出す商品開発感覚も芽生えました。生きがいとやりがいを見出したお年寄りパワーはファイトに満ち溢れています。自給自足の朝取れ野菜市場の売上は年間2億円を超え、年間収入が500万円以上のお年寄り農家も数あると聞きます。この町の農家の青年達は21世紀を睨んでいち早くパソコンを導入しインターネットを農業経営に活用したことでも有名な地域です。

 

<参考> 民間が作った加工工場と販売コーナーが一体となった販売センター

愛知県美浜町   「えびせんべいの里

民間経営のえびせんべい加工工場と販売コーナーが一体になった販売センターです。ガラス張りの工場は休憩コーナーからも販売コーナーからも見ることが出来ます。オートメーションで作られる10数種類のえびせんべいが販売コーナーに落ちてきます。試食は食べ放題です。センターの中ほどにある広い休憩コーナーには大型のコーヒーメーカーが設置してあり、無料でコーヒーが提供されます。訪れた人は休憩コーナーで好みの試食のえびせんべいとコーヒーをたのしんでから一袋500円の好みのえびせんべいを数種類買って帰ります。駐車場は第1から第3まであります。休日は満車になり整理員が何人も出て交通整理をしています。民間の経営姿勢のすごさを感じます。

 

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