私なりの「オペラ名作選」そのストーリーと名曲

 

       歌劇「椿姫」のストーリー イタリア語)ヴェルディ

 

<初演>  1853年3月6日(江戸時代末期)ヴェネツィア・フェニーチェ劇場

<登場人物>

ヴィオレッタ   (ソプラノ:高級娼婦)

フローラ     (メゾソプラノ:ヴィオレッタの友人)

女中アンニーナ   (ソプラノ)

アルフレード    (テノール:ヴィオレッタの恋人)

ジョルジョ・ジェルモン (バリトン:アルフレードの父)

子爵ガストン   (テノール)

男爵ドゥフォール (バリトン)

侯爵ドビニー   (バス)

医師グランヴィル (バス)

<時代>   1850年頃

<場所>   パリ及びパリの郊外

 

(1)前奏曲  間奏曲とともによく演奏される名曲

<第1幕>

高級娼婦ヴィオレッタの家の豪華なサロン。アバンチュールを楽しむ侯爵や子爵や金持ち達がヴィオレッタの開く舞踏会に大勢来ています。侯爵が「フローラの店に寄ったので遅くなった」と言ってフローラと連れだって来ました。プロバンスの富豪の子息アルフレード(パリに留学している)は初めて子爵に連れられ来ています。子爵に紹介されたアルフレードはヴィオレッタに「1年前から愛していた」と言いますが、ヴィオレッタはこの年下の純情な青年を相手にしません。が少し気にもなります。青年は勧められるまま杯を上げ「乾杯の歌」を歌い、ヴィオレッタが続づきます。

(2)乾杯の歌 (アルフレードとヴィオレッタ)

「杯を上げてたのしくやりましょう、美しい花が咲く杯に、愛を呼ぶあなたの優しさに」。ヴィオレッタが続き「あなた方と一緒に楽しい時が過ごせます、くだらないことを忘れて楽しみましょう」

人々は舞踏会の広間の方に消えますが、ヴィオレッタは急に気分が悪くなり、客を先にやり、鏡の前で顔を直してるところにアルフレードが現れ、ヴィオレッタへの愛の深さを告白します。青年の純真さに少し惹かれ、「これが枯れる頃会いましょう」と椿の花を渡します。客が帰り一人になったヴィオレッタは

(3)ああそはかの人か (ヴォオレッタ)

「不思議だわ、不思議だわ、あの言葉に、今まで知らなかったこの喜び、病身の私に愛を呼び覚ます、あの人が」と歌い、続いて、高級娼婦である自分に言い聞かせるように

(4)花から花へと (ヴォオレッタ)

「ばからしい、ばからしい、花から花へと渡る私なんかに、一人だけの愛なんて、たわごとだわ、砂漠のようなパリで、見捨てられ、何を望むの、快楽にふけるのよ、そして死ぬの」外からアルフレードの愛を訴える歌声が聞こえます「愛なんてたわごとだわ、ばからしい、快楽に生きるの」と彼の愛に惹かれながらも、今更愛なんてと自分に言い聞かせます。(ヴィオレッタは不治の病、結核にかかっています)

<第2幕>

3ヶ月がたちました。アルフレードとの愛に幸せを見いだしたヴィオレッタは、今までの快楽の生活を捨て、パリ郊外の田舎で、憧れの裕福な若奥様として、愛し合う二人だけの楽しい生活を送っています。

(5)燃える心(アルフレード)

「もう3ヶ月が過ぎた、私のヴィオレッタは、華やいだサロンも、富も、名声も捨て。私だけを愛してくれる。私は天国にいるようだ」

しかし、現実は厳しく、ヴィオレッタはアルフレードとの愛の生活のために、自分の全財産を処分してしまいますが、まだ足りません。それを知ったアルフレードは女中に口止めして、ヴィオレッタの財産を取り戻す金策のためパリに行きます。下男がヴィオレッタのところに、パリのフローラからきた仮装舞踏会の招待状をもってきます。ヴィオレッタは以前の生活に戻る気はありませんので返事も書かず机の上に置きます。そこに老人(アルフレード父親)が二人を別れさせるために訪ねてきました。父親は、息子がヴィオレッタの誘惑におぼれ、仕送りの金をヴィオレッタとの自堕落な生活のために使っていると思い込みヴィオレッタをなじりますが、二人の愛の生活のためにヴィオレッタの方が全財産を使ってしまっていることを知り、誤解したことをわびます。しかし、愛におぼれた息子を取り戻すために「プロバンスでは息子の悪い噂が伝わり、妹娘の縁談に差し支えるので別れて欲しい」と懇願します。ヴィオレッタは、「二人の仲は清らかで、幸せな日を過ごしている、病身の自分には友達もなくアルフレード一人が頼りだから」と断りますが、息子の将来を案ずる老人は「あなた達は神の祝福なく結ばれた、決して幸せは続かない」との説得に、泣く泣く別れることを約束します。そして、アルフレードに手紙を書き残し家を出ていきます。パリから帰ったアルフレードはヴィオレッタの「別れの手紙を」見て呆然とします。隠れていた父親が姿を見せ、「プロバンスの田舎で家族と一緒に暮らそう」と今の自堕落な生活から抜け出すよう諭します。フローラから来た招待状を見つけたアルフレードは、ヴィオレッタが自分を捨て、男爵のもとに奔ったと思い込み、激怒して、父親の止めるのも聞かず駆け出し、父親も後を追います。

<第2幕第2場>

フローラの家の豪華な広間。侯爵の世話を受けているフローラは、今宵も男爵や子爵を集め、仮装舞踏会を催しています。侯爵は仲間の男爵や子爵にヴィオレッタがアルフレードと別れたことを話しています。ジプシーに扮した女達がタンポリンを打ち、躍りながら

(6)ジプシーの合唱

「私たちはジプシー娘、お手をお出し下さい、未来の運勢を、占って差し上げます、マダムにはライバル出現の卦が、侯爵は浮気の卦が」

続いて子爵を先頭に闘牛士に扮した男達が入ってきて

(7)闘牛士の合唱

「闘牛士の我々は勇者です。ピクイロは牛を5頭倒さねば好きな人はなびかなかった。ここでは心優しい方ばかり、にぎやかに遊べば望みが叶います。」

人々か余興に興じているところに興奮した様子でアルフレードが現れ、カルタの仲間に入り勝ち続けます。そこにヴィオレッタに手をかした男爵が姿を見せます。嫉妬したアルフレードは男爵にカルタを挑み大勝ちし、争いになります。ヴィオレッタは、アルフレードの父親との約束を守るために「男爵を愛している」と嘘を言います。激怒したアルフレードは、客を呼び集め、「この女は、私への愛情のため全財産を使い果たしたそうです、私はそれに甘んじていた、今日汚名を晴らします、あなた方はその証人だ」と言って、賭に勝った大金をヴィオレッタにたたきつけます。ヴィオレッタはあまりの出来事に失神してしまいます。集まった客は「女性に向かって何というはずかしめ、恐ろしいことをする。ここから出ていけ」と軽蔑し、後を追ってきた父親ジェルモンは「怒りに震える、婦人を傷つける恥さらしな奴」と叱り、男爵は「ヴィオレッタの名誉のために決闘だ」、アルフレードは「嫉妬に狂い、恐ろしいことをした、彼女はもう許してくれない」、ヴィオレッタは「やがてわかってくれるはず」の合唱で幕が下ります。

<第3幕>

パリの下町のヴィオレッタの家の病室。2月の謝肉祭の日。

ヴィオレッタはベッドに横たわっています。外から謝肉祭を祝う歌声が聞こえます。医師のグランヴィルが診察に訪れ、女中のアンニーナに、今日、明日の命であることをそっと告げます。死期が近づいていることが分かっているヴィオレッタは、アンニーナに残っているお金の半分を謝肉祭の義捐金に持って行かせ、ジェルモンからの手紙を読みます。「あなたは約束を守って下さいました、息子は男爵との決闘で傷を負わせ、今は外国にいます。息子にあなたとのことを何もかも話しました、息子は、あなたに謝罪するためにあなたのもとへ参ります。私も参ります」。何回も何回も読んではアルフレッドを待ったのでしょう。手紙はしわくちゃになっています。

(8)さらば過ぎし日よ(ヴィオレッタ)

「もう間に合わない、待っても待っても、あの人は来てくれない、」鏡を見て「なんて変わり果てたの、希望を持つようにとお医者様が慰めてくれたけれど、病が望みを消して行くわ」

「さようなら過ぎ去った日よ、夢のような日よ、バラ色の頬も青ざめ、アルフレードの愛も残されていない、ああもう何もかも終わってしまう」

そのときヴィオレッタの家をようやく探し当てたアルフレードが飛び込んできました。ヴィオレッタはあまりの嬉しさに起き上がろうとしますが出来ません。やつれ果てたヴィオレッタに驚き、優しく抱き起こして、今までのことを心から詫び

(9)パリを離れて(ヴィオレッタ、アルフレード)

「パリを離れて、一緒に暮らそう、田舎へ行ったら必ず良くなる、幸せに暮らそう」「一緒に暮らしましょう、病気も治るわ、早く教会に行きましょう、今日のお礼に、ああもう駄目」「どうした、真っ青だ」「病気のせいよ、ああ、駄目だわ」アルフレードにしがみつきます。「医者を呼んで来てくれ、むごい運命だ」アルフレードは叫びます。「お医者様にアルフレードが戻ってきた、もっと生きたいと伝えて」アンニーナが医師を呼びに行きます「やっと涙をぬぐう時がきたのに、死ぬなんて、私の運命なのね」「二人で暮らせる喜びに、胸をときめかせ、やっと探し当てたのに、死んではいけない」

そこへアルフレードの父ジェルモンがきました。「私の娘として抱きしめに来ました」「遅かったようですわ、でも嬉しい、優しい人の腕の中で死ねるのですから」「なんと言われる」「お父さん、この姿を見て、なんとお思いか」「私を苦しめないでくれ、、なんと分別のないことをしたのか、私のまいた不孝の罪の重さに胸が張り裂けそうだ」。

「アルフレード、私の絵姿を受け取って、絵姿がどんなにあなたを愛していたか、忘れないで」とヴィオレッタは自分の絵姿が入ったロケットを渡します。「いやだ、死なないでくれ」「あなたに清らかな乙女が現れたら、お嫁さんにしてね、天国で、二人の幸せを祈ってくれる人からの贈り物だといって、これを渡してね」

ヴィオレッタは急に生気を取り戻し「不思議だわ、急に苦しみが無くなった、生気が戻ったわ、うれしい」と言って倒れ、死んで行くところで「椿姫」の幕が下ります。

 

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