「私なりのオペラ名作選」そのストーリーと名曲

 

           歌劇「ジャンニ・スキッキ」のストーリー   

 

作曲 ジャコモ・プッチーニ

初演 1918年 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 

登場人物  ジャンニスキッキ、その娘ラウレッタ、富豪の従妹ツイータ、その甥リヌッチオ、富豪の甥とその妻子など親族、医師、公証人など

外套、聖女アンジェリカとの3部作でメトロポリタンで初演された。ダンテの神曲地獄篇挿話をヒントに作られたプッチーニ 唯一の喜劇

物語

1299年のフィレンツェ 、富豪の老人ブオーゾが息を引き取り寝台に寝かされている。集まった親族は、うわべは嘆き悲しんでいるが実は老人が残したな遺産のことが気がかりです。「遺産の全ては修道院に寄進するらしいと街で噂している」と聞き、驚き、お祈りどころではありません。「遺言書があればまだのぞみがあるぞ」との発言に一同躍起になって家中を捜しまわり、めぼしいものを見つけては服の下やポケットにしまいこんでいます。そのとき富豪の従妹の甥のリヌッチオが「遺書が見つかった」と叫び、遺言書を持ったまま逃げ回りながら「遺産で金持ちになったら恋人ラウレッタとの結婚を許してほしい」と懇願します。みんなが寄ってたかって遺書を取り上げ、「うまくいけば誰とでも一緒になればいい」といいます。一同が遺言書に見入っているすきにリヌッチは恋人の父ジャンニスキッキ呼ぶようにそっと言伝を依頼します。親族達はそれぞれ「遺産が入ったら」と勝手な想像しながら、証書を開封しむさぼり読みます。「噂は本当だった」と一同は落胆し、口々に「修道院の坊主め」、とののしり「老人が死んで我々は街の笑い者だ、泣くのは自分達だ」と恨みごとをならべますが、冷静を取り戻し「いい知恵はないか」とつぶやきます。リヌッチが「一人だけうまくやれる人がいる」と恋人の父ジャンニ・スキッキを推薦したので、一同は「あんな田舎者の成り上がり者なんかを仲間に入れて親戚になるのは真っ平だと」と怒り出します。リヌッチオは「知恵者で、法律にを詳しい人」と説得し、フィレンツェの栄光と魅力をたたえるアリア「フィレンツェは花の咲く木」〜美しいフィレンツェの街の栄光をもたらした芸術家達やメディチ家も田舎からきた〜を歌い説きます。そこに言伝を聞いたジャンニ・スキッキが娘のラウレッタとやってきました。しょんぼりしている親族達にわざとらしくお悔やみを言い、「老人が死ねば皆さんにはたっぷり遺産がころがりこむだろ」との皮肉な言い方に、怒ったツイータはヒステリックに「持参金のない娘と甥を結婚させるわけにはいかない」、「なんだ欲張り婆」とスキッキ、恋人同士は愛をささやく四重唱。リヌッチオはスキッキに「助けてほしい」と懇願しますが、「こんな分からずや達では」と断ります。このとき娘のラウレッタが、大好きな父親を必死に脅迫して哀願する有名なアリア「私のお父さま、(オオ・ミオ・バッビーノ)」を歌います

私の大好きなお父さま

「お父様、私はあの方が好きなの、すばらしい方ですもの、ポルタ・ロッサに行って愛の指輪を買いたいの、本当に行きたいの、もし駄目になったら、ヴェッキョ橋からアルノ川に身を投げてしまうから、恋で胸が張り裂けそう、神様、死なせてください。お父様、お願い、お願い」

一癖ある老獪な成り上がり者の知恵者も、心やさしくおとなしい愛娘が恋人とのために一生懸命脅迫するものですから、それがたまらなくいとおしく可愛いのです。スキッキは遺言書を読み「どうしようもない」 とつぶやきました。二人が「さようなら、希望よ」と悲しむのを見て、再び考え直し、歩き回るうちに妙案が思い付きます。娘をテラスに出して、親族達に老人の死が外部に漏れていないかどうか確かめます。医師が診断に来ました。スキッキは寝台にもぐりこみ、親族達は入り口で「ブオーゾはよくなった」と医師に言っています。スキッキは、弱々しくブオーゾの物まねをして「眠いので、今晩来てほしい」と告げます。医師は誇らしげに帰って行きました。スキッキは、一安心した一同に「自分がブオーゾになりすまして改めて公証人の立会いのもとで遺言を言う」と話します。一同は抱き合って喜び合い、スキッキを誉めたたたえ、リヌッチオは公証人を呼びにいきます。一同はそれぞれ希望の遺産を言い合い大騒ぎですが、全てをスキッキに任せることにし、スキッキにブオーゾの衣装を着せながら女性達は小声で自分達の欲張った要求をささやきます。スキッキは「よしよし」と承知するので女達は大喜びしスキッキを寝台に寝かせました。スキッキは一同に向かって「他人の遺言を書き換えた事が知れたら、それに協力したも者全員は右手首を切り落とされ追放になる」という掟があると告げ、一同は震えあがります。スキッキは二度とフィレンツェに帰れないと脅しの歌「さらばフィレンツェ。手首を切られて追放された、もうフィレンツェには帰れない。」と歌い、震え上がった一同も一緒に歌います。公証人が二人の承認を連れてきました。寝台に横たわったスキッキは弱々しい声で公証人に「遺言を改めたい、以前のものを無効にしたい」、「修道院には5リラを寄進し残りは全て親族に分け与える」と告げますので一同は感激です。ついで親族にそれぞれ望みのものを与えてから、「一番価値のあるトスカーナ1のロバは、忠実な友人ジャンニ・スキッキに与える」と言います。一同唖然とする中「この邸宅も」と言い、一同が騒ぎ出すと「さらばフィレンツェ」を口ずさみます。一同はおとなしくなってしまいます。「粉引き場もスキッキに」、又騒ぎ出すと「さらば」を口ずさみ、遺言を言い終わります。さらに「ツイータの財布から20フィニオーリを公証人に証書作成料として払うように」と告げます。法外なお礼をもらった公証人は大喜びで帰って行きます。一同は「この泥棒め」とスキッキに詰め寄りますが、「これは俺の家だ」と杖を振り回し追いかけ、親族達は手当たり次第金目の物を持って出て行きます。誰もいなくなり、リヌッチとラウレッタはテラスで美しいフィレンツェの街を眺めなたたえながら抱擁し、幸せに酔っています。そこへスキッキが持ち出された金目のものを取り返し、いっぱい抱えて入ってきます。テラスのうれしそうな二人を見て、観客に帽子を取り、頭を下げて「私の無法なたくらみもダンテのご許可を得ております。このお芝居がお気きに召しましたら、どうか私めをお許しくださいますよう」と挨拶し、幕が降ります。    

 

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