「私なりのオペラ名作選」そのストーリーと名曲

 

      歌劇「ばらの騎士」のストーリー   リヒャルト シトラウス

          

18世紀、ウィーンの貴族社会では、求婚の印として花嫁に「銀のばら」を送る習慣がありその使者を「ばらの騎士」と呼んでいました

初演 1911年1月 ドレスデン宮廷劇場

登場人物

元帥ヴェルデンベルク侯爵夫人(S)、オックス男爵(B)、オクタヴィアン伯爵(M)、

貴族ファーニナル(Br)、その娘ゾフィー(S)、

(17歳のオクタヴィアン伯爵を女性が演じるので最初は同性愛かと勘違いをしてしまいました)

第1幕 ウィーンにある元帥ヴェルデンベルク侯爵夫人の寝室

元帥ヴェルデンベルク侯爵はクロアチアへ狩りに出て留守です。夫人は17歳の青年オクタヴィアン伯爵と一夜の快楽の余韻を楽しんいます。戸口の方が騒がしくなり夫が狩りから帰ったと思い、慌てて、浮気相手のオクタヴィアン伯爵に身を隠すようせかせます。物音は元帥ではなく夫人のいとこのオックス男爵で召使に「いつまで待たせるのか」と怒鳴っているのでした。小間使に変装したオクタヴィアン伯爵が夫人の寝室から出ようとしてオックス男爵と出くわしてしまいます。オックス男爵は変装した美貌の小間使に一目ぼれして色目を使います。夫人は田舎出のマリアンデルという小間使だと嘘を言います。いとこのオックス男爵は先ごろ貴族になった金持ちのファーニナル家の娘ゾフィーを花嫁にしたいと思い、その相談にウィーンに来たのです。ファーニナル家は身分は低いのですが父親は資産家で病弱、娘のゾフィーはまだ幼さが残る美人です。オックス男爵にとっては色と欲との願ってもない結婚相手なのです。オックス男爵は娘のゾフィーへの愛の証しに「銀のばら」を贈る使者の人選と、ファーニナル家の財産分与について弁護士の紹介を夫人に依頼するためにウィーンに来たのでした。夫人はオクタヴィアン伯爵の絵姿を見せ、彼を「ばらの騎士」に推薦します。絵姿はすれ違った魅力的な小間使のマリアンデルとそっくりです。小間使のマリアンデルに心が奪われたオックス男爵は彼女の素性が気になり従者達に訊ねますが誰も知りません。オックス男爵はオクタヴィアン伯爵に「ばら騎士」の役を引き受けて貰うべく「銀のばら」を伯爵夫人に差出して退室します。そこへ先ほど小間使のマリアンデルに変装したオクタヴィアン伯爵が乗馬姿に着替えて入ってきて甘い愛の言葉を夫人に伝えますが夫人はそれをさえぎるように、「いつか自分を捨てて若い女性のもとに行ってしまうだろう」と言い、オクタヴィアン伯爵は「そんな事は絶対にない」と激昂し退室してしまいます。一人になった夫人はキスもせず出ていってしまったのに気付き呼び戻そうとしますが既に馬を駆って行ってしまった後です。夫人は黒人の小姓を呼び「銀のばら」をオクタヴィアンに届けるよう言い付け物思いにふけるところで第1幕が終わります。

第2幕ファーニナル家の一室

今日はオックス男爵の使者がゾフィーのもとへ「銀のばら」を届ける日です。ファーニナル家は大騒ぎです。花嫁の父は使者が到着するときは留守にしているのが慣わしです。後で花婿を連れてくるといって父親のファーニナルが退室します。オクタヴィアン伯爵は供を従え豪華な身なりで「銀のばら」を携えて入ってきます。伯爵とゾフィーはお互い一目見て心がひかれてしまいます。型どおりの挨拶の後、伯爵のことについて詳しく知っていてカンカンと言う愛称まで知っていると少女のように快活に話すゾフィーの可憐さに伯爵はますます心を奪われます。ファーニナルがオックス男爵と入ってきてゾフィーに「未来の花婿だ」と紹介します。オックス男爵は小間使のマリアンデルにそっくりなオクタヴィアン伯爵をみて下品にからかったりゾフィーを膝に抱くなど傍若無人な振る舞いにゾフィーは困惑し、伯爵は怒りが込み上がります。ゾフィーは男爵の横暴で下品な振る舞いに嫌悪を抱きます。ゾフィーは男爵が退室したのをとらえ伯爵に男爵との結婚を妨害する手助をして欲しいと懇願し、お互いが愛を告白して抱擁します。そこを男爵の供の者が見つけ男爵に報告します。伯爵は男爵にゾフィーは結婚する意思がないと告げますが、男爵は結婚証書に署名するよういやがるゾフィーの手を引いて別室に行こうとします。伯爵は怒って剣を抜きオックスに挑みます。臆病なくせに強がりぶるオックスも剣を抜きへっぴり腰で伯爵に切りかかり格闘するうち腕を刺され、男爵は大げさにわめき騒ぎます。ファーニナルは騒ぎに驚いて入ってきて伯爵をなじり退室を求め、結婚を拒否する娘に「承諾しなければ修道院に行け」と脅します。伯爵が退室すると男爵は急に強がりをみせ伯爵をなじっています。そこへ男爵あてに小間使のマリアンデルから日暮れに逢いたいという恋文が届きました。男爵は上機嫌で出て行きます。

第3幕 居酒屋の一室

男爵の従者ヴァルツァッキは同じ従者のアンニーナが喪服姿の夫人に変装するのを手伝っています。アンニーナとヴァルツァッキはマリアンデルからの恋文を男爵に届け褒美をせがんだのですが相手にされず仕返しを企んでいます。マリアンデルに変装したオクタヴィアン伯爵が入ってきて財布をヴァルツァッキに投げて出て行きます。ヴァルツァッキは何回もお礼のしぐさでそれを受け取り、異様な風情の男たちの一人を床下に、その他を隠し窓に配置します。オックス男爵がマリアンデルの手を取り食事をするために入ってきました。男爵がマリアンデルを口説こうとしたり接吻をしようとすると隠れ場所から異様な男たちの顔が現れては消え、男爵を驚かせます。そこへ喪服を着た夫人に変装したアンニーナが「男爵は私を見捨てた夫だ」とわめきながら入ってきます。後ろからきた4人の子ども達が「パパ」と言います。驚いた男爵は夜警で通る警官を呼びいれ部屋を捜査するよう命じますが警部はオックスが男爵である事を疑い尋問を始めます。マリアンデルを許婚だと紹介し名前は貴族の娘でゾフィーと言います。「宿でオックスが危ない目にあってる」とヴァルツァッキからの伝言を受けたファーニナルが入ってきます。男爵はファーニナルを許婚の父ではなく縁者だと紹介しますが、ファーニナルから「婿殿」と言われ、言い訳が効かなくなってしまいました。ファーニナルは男爵の本性を知り外に待たせておいたゾフィーを呼び入れオックスの破廉恥ぶりを話し、怒りと失望に気分が悪くなってしまい隣室に運ばれてしまいます。マリアンデルは警部に計画の全てを話します。ゾフィーは男爵に決別とファーニナ家への出入りを断ります。男爵の従者の知らせで侯爵夫人が現れ、名誉を重んじて立ち去るように忠告します。オクタヴィアン伯爵が正装して入ってきました。オックスはマリアンデルの正体を知ります。あくまでゾフィーとの結婚を模索するオックスですが夫人から諦めるよう説得され衆人の嘲笑を受けながら立ち去ります。部屋にはオクタヴィアン伯爵、ゾフィー、侯爵夫人の3人だけとなりました。ゾフィーは侯爵夫人とオクタヴィアン伯爵との情愛に満ちたやり取りに心を痛めます。夫人はオクタヴィアンにゾフィーの愛を受け入れるよう諭し部屋を出て行きます。オクタヴィアンはゾフィーをかき抱き二人は喜び合います。侯爵夫人はファーニナを伴って部屋に戻り二人の結婚を仲介します。ファーニナには依存などあろう筈がありません。結婚を許し二人を残して夫人と出て行きます。若い二人は喜び勇んで手を取って部屋を出ます。そのときゾフィーがハンカチを落とします。それを夫人の黒人の小姓が拾いにくるところで幕が下ります。  

 

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